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2026年10月15日

車を持たなくていい時代に、「運転できる」ことの意味は変わったのか

東京では、車を持たなくても暮らせる、とよく言われます。電車やバスが発達していて、車がなくても困らない人は多いと思います。

では、「運転できる」ことまで、いらないのでしょうか。この記事では、品川駅と住宅地の3地点から、電車と車を同じ条件で比べました。電車が強い場面、車の方が楽になる場面、公共交通の経路が出なかった場面を見たうえで、「運転できる」という選択肢をどう考えるかを整理します。

書いているのは、指定自動車教習所で15年間勤務した講師です。教習指導員として教習に携わり、技能検定員として修了検定・卒業検定の合否判定にも携わってきました。この記事は、答えを決めつけるものではなく、考えるための材料をまとめたものです。

この記事の内容
目次

東京では、電車が強い

まず、東京の移動で電車が強いことは、実際に比べても確認できました。

調べ方と条件

比較の条件

品川駅は、鉄道路線が多い駅です。品川駅から比べると電車が有利になりやすいため、住宅地からも比べました。品川駅から15か所、住宅地2地点から6つの目的地で比べています。

電車が強かった例:東京駅・羽田空港

東京駅までは、電車なら8分、車は16〜35分でした。羽田空港の第3ターミナルは、電車13分に対して、車は20〜40分です。

都心や空港のように、駅や駐車場の事情が絡む場所では、電車が強くなります。羽田空港の公式案内にも、土日祝は道路や駐車場が混雑するため、公共交通機関の利用が勧められています。

電車と車の差が変わる場面

電車が強い一方で、場面によって差の出方は変わりました。代表的な例を並べます(すべて休日、11:00発)。

場面電車・バス車
東京駅(品川駅発)8分16〜35分
コストコ川崎倉庫店(中延発)54分20〜55分
鎌倉パブリックゴルフ場(祖師谷発)129分
(ロマンスカーなどを使う経路)
65〜120分
複数の立ち寄り(中延発)計128分
(乗換4回)
60〜140分
道志の森キャンプ場(3地点とも)経路が表示されなかった(土曜11時発)130〜200分

立ち寄り先での滞在時間は含みません。複数の立ち寄りは「自宅→武蔵小杉→コストコ川崎→自宅」の3区間の合計です。

荷物がある日:時間はほぼ同じでも、違いは荷物

コストコのような大型店は、時間だけを見ると、電車・バスと車の所要時間は近い値になりました。品川駅から出発しても、電車・バスで35〜40分、車で20〜55分と、大きな差はありません。

違いが出るのは荷物です。まとめ買いをした荷物を持って、バスと電車を乗り継ぐのは大変です。これは今回の比較には入っていない部分で、私の推測です。

住宅地から遠出する日:車の優位が出る

祖師谷から鎌倉のゴルフ場へ向かうと、電車・バスは129分でした。車は65〜120分で、幅はありますが、短くなる傾向です。住宅地から出発すると、駅までの移動が加わるぶん、電車は不利になります。

立ち寄りが多い日:時間より、乗換と手間

自宅から送り迎えと買い物、大型店を回る日を考えました。中延から出発する場合、電車・バスは3区間の合計で128分、乗換が4回でした。車は60〜140分で、幅が大きく、時間の差は30分前後です。

品川駅から出発すると、電車は合計96分で乗換2回、車は65〜150分で、ほぼ互角でした。このケースでは、車の良さは、時間より、乗換のなさと、荷物を置いたまま回れることにあります。

今回の条件では、公共交通の経路が出なかった:道志のキャンプ場

今回設定した土曜11時発の条件では、Googleマップで公共交通の経路が表示されませんでした(品川駅・中延・祖師谷の3地点とも)。代わりに表示されたのは月曜の朝発の経路で、約4時間でした。車なら130〜200分です。

電車が強い場面、互角の場面、車が使えると意味が変わる場面、公共交通の経路が出なかった場面。東京の移動は、こうしたグラデーションになっています。

なお、車は、カーシェアの利用料や高速料金、駐車場代がかかり、費用は電車より高くなりやすいと考えられます。今回は料金を含めた比較はしていません。

車を持たなくても、必要なときだけ車を使える環境が広がった

車を所有しない人でも、必要なときだけ車を使える環境は、この数年で大きく広がりました。タイムズカー1社の公式発表で見ると、次のとおりです。

時点車両ステーション会員
2018年10月末23,431台11,311件1,099,126人
2024年5月末47,793台18,362約272万人

全国の数字で、東京だけの数字ではありません。2018年は「タイムズ カー プラス」、2024年は「タイムズカー」の表記で、集計の範囲が完全に同じとは限りません。

約5年半で、車両は約2倍、会員は約2.5倍になりました。使い方も変わっています。以前は会員カードを車にかざして解錠していましたが、2022年2月からは、アプリだけでドアを解施錠できる機能が加わりました。現在は、入会から最短15分で利用でき、15分から借りられます。

この記事では、カーシェアの料金や会社の比較はしません。確認したいのは、車を持たなくても、必要なときだけ車を使える環境が広がったという点です。

では、「運転できる」ことの意味は変わったのか

ここまでを整理します。東京では、電車が強い。一方で、車を持たなくても、必要なときだけ車を使える環境が広がっている。

車を借りて使える環境が広がる中で、運転できるかどうかが、使える選択肢を分ける場面もあります。

では、「運転できること」の意味も、以前とは少し変わっているのでしょうか。

この問いに、はっきりした答えは出せません。以前と比べて変わったかどうかを、統計で確かめられていないためです。考えるための視点を3つ挙げます。

借りるときも、運転するのは自分

カーシェアでもレンタカーでも、借りたあとに運転するのは自分です。車を持たなくても済む環境が広がっても、使うには「運転できる」ことが前提になります。ここは事実です。

ふだん運転しないと、いざというときに不安が出るのではないか

ふだん運転しない人ほど、旅行先や送迎など、いざ車が必要になったときに、久しぶりの運転に不安を感じやすいのではないでしょうか。これは私の推測で、データでは確認していません。

反対の見方:運転しなくても移動できる手段も増えている

一方で、タクシーの配車アプリがあり、2024年4月には東京23区などで日本版ライドシェアも始まりました。運転しなくても移動できる手段も増えています。「運転できること」の意味が変わったと決めつけられない理由の一つです。

自分に当てはめて考える3つの問い

考える材料
  1. 電車では行きにくい場所へ行く予定は、年に何回くらいあるか(旅行、帰省、送迎、荷物の多い買い物など)
  2. その日に、運転を誰かに任せられるか。ほかの移動手段で足りるか
  3. 免許は持っているが、今、実際に運転できる状態か。久しぶりなら、不安はないか

答えは、暮らし方によって変わります。運転する日が限られる方は、毎日運転できるようになる必要はありません。必要な日に運転できる状態を目指すという考え方もあります(普段は家族が運転している方へ|目指すのは、毎日ではなく「必要な日に運転できる状態」)。

必要になってから考えるより、必要になる前に一度考えておく、くらいがちょうどいいのかもしれません。

運転に不安があるなら

「運転できる」を選択肢として残すかどうかは、人によって違います。久しぶりの運転に不安があって、車を借りる選択肢を使えずにいる方は、必要になる前に一度、運転感覚を確認しておくという方法があります。

K Steering Labは、品川駅集合の講習と、ご自宅へ伺う出張講習をおこなっています。まずは、どんな場面が不安かを、LINEでお知らせください。

出典・調査条件

川野辺 駿介|K Steering Lab
運転に自信がなく、車を借りる選択肢を使えずにいる方へ

必要になる前に一度、運転感覚を確認しておく方法もあります。久しぶりの運転が不安な方も、相談だけで構いません。ご自宅の車(マイカー)でも、品川駅集合の講習車でも、状況に合わせてご案内します。

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K Steering Lab 代表:川野辺 駿介
指定自動車教習所で15年勤務/教習指導員・技能検定員
東京23区を中心に出張ペーパードライバー講習を実施。
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